クラス分けテストの誕生
約15年前の熊本レッドベアーズは、小学生クラス、中学生クラスと2つに分けて練習をしていました。
(現在もコーチの数の問題で、小学生クラス、中学生クラスと分けているクラスもあります)
ある時、子供の表情が気になりました。
Aくんはイライラしている。
Bくんはつまらなさそうにしている。
様子を見ると、Aくんはバスケットボール経験が長く、経験が少ない子たちのレベルに合わせることで、思い通りに行かず、イライラしているようでした。
Bくんは経験が少なく、バスケットボールが大好きだけど、地域にバスケットボールができる環境がなく、ようやく熊本レッドベアーズを見つけて、入会した子でした。
経験豊富な子たちに圧倒されて、つまらなさそうな表情になっていました。
「年齢関係なく、スキル別やモチベーション別で分けてみようか?」
コーチ陣の中から自然に出てきた言葉でした。
クラス分けをすることで得たもの
当時は、アジリティのテスト、パスのテスト、シュートのテストなど、とてもたくさんの項目を検証していました。
そして、段々と項目が少なくなっていき、毎年のように変化して今の形に落ち着きました。
現在の基準はコチラ↓↓
クラス分けをすることで、子どもたちは、目の前の練習に集中することができるようになりました。
コーチも、より細かい部分の指導ができるようになり、環境づくりに力が入っていきました。
競技レベルの高いところを目指す子も、純粋に楽しみたいという子も、数字の目標には共通して目を輝かせていました。目標が明確になることで、モチベーションアップに繋がったようです。
様々な子どもたちの目的に寄り添いやすくなったことが、大きな収穫です。
テストが羅針盤の役目になっている
熊本レッドベアーズは、トルネードアカデミーに所属しています。
トルネードアカデミーは現在、「熊本」「愛媛」「大阪」「福岡」「東京」「大分」「山梨」の7都府県、10団体で活動しています。
遠く離れた、コーチたちと方向性を確認し合うためにも、各地で行われているテストがとても役に立ちます。
- クラス分けの基準を変えてみた
- テストの種類を増やしてみた
- テストに対するモチベーションから子どもたちが変化した
など、毎月のコーチミーティングや、顔を合わせる時に、共通言語のようにコミュニケーションができます。
なぜ基準を変えたのか、なぜテストの種類を増やしたのか、その「なぜ?」の理由を聞くことで、今、そのコーチが何を大切にしているのかが確認できます。
その後の変化をシェアしてもらうことで、更にテストや子どもたちへの向かい合い方の質が上がります。
それぞれの価値観を認め合いながら、それぞれの信じる道を進んでいく。
ベースのテストが、振り返る機会や、それぞれの道の確認をする時の羅針盤にもなっているように感じます。
ブレずに個を見るために
約15年前から、子どもたちのテストの結果を記録しています。
子どもたちは節目節目で、参加者が大きく入れ替わります。
(小学校卒業時、中学生や高校生が受験勉強を本格的に始める時など)
様々な子どもたちが、入れ替わることで、今、何を伝えて行けば良いか分からなくなりがちです。
そんな時、テストの結果の記録を見ることで、世代が変わったクラスの子どもたちのカリキュラムの習得度がわかります。
学校や学習塾、進級制の水泳教室や段のある武道などでは、当たり前の事かもしれませんが、球技やチームスポーツでは、進級制は珍しいです。
チームスポーツでも、育成時期は個を見ることが重要となります。
個を見るきっかけとして、テストの記録は役に立ちます。
また、過去の世代の記録と照らし合わせることで、完全ではありませんが、心技体の成長の目安となり、その時その時の世代のメニューを考える際にも役立ちます。
もし、目安がなければ、指導者の主観のみで指導することになり、気づかないうちに、指導の軸がブレることもあるでしょう。
まとめ
当時、今の未来を予測して、テストを作ってきたわけではなく、子どもたちの表情や、親御さん達のヒソヒソ話がきっかけでテストは誕生しました。
「どうすれば、多くの子どもたちの笑顔を引きだせるのか」
「どうすれば、親御さんは、温かく見守り続けれるか」
コーチたちで話し合いながら試行錯誤し今の形があります。
一人の子を複数のコーチで見ることになったり、急遽担当が変わることになったりした場合、テスト結果の記録があることで、継続的な個への接し方の質が上がりました。
他都府県のトルネードアカデミーと、一つになる時にも、共通するものがあることで、多くの子どもたちのことを共に考えることができるようになりました。
一つ一つ、過去の積み重ねが未来に繋がって行くことになっています。
今後も、変化するものは変化し、変わらず続くものは続いて行くのだろうと思います。
過去の積み重ねから、少し未来が見えるようになったのも事実で、積み重ねのパワーを感じています。